近年、公式情報の発信や広報、デジタルマーケティングなどを目的として、SNSを活用する企業が増えてきています。 その中でも、X(Twitter)で複数のアカウントを運用している企業も多いようです。
その都度、必要に応じてX(Twitter)でアカウント開設するも、運用方針が決まらず行きあたりばったりで情報が混在するなど、複数アカウントの運用の難しさを感じるSNS担当者の方も多くいると思います。
そこで、今回は複数のアカウントを運用するメリットとデメリットを事例と共に考えたいと思います。
あらためてX(Twitter)の特徴を確認しましょう
X(Twitter)国内ユーザー数は4500万人(※2017年10月27日公式投稿より)
2017年10月の投稿によると、日本国内では月間利用者数4500万人と発表しています。 月間利用者数(アクティブユーザー数)ではLINEに続き2番目になるほどの成長を遂げています。
最新の国内ユーザー数については公式でのリリースはありません。
>>参考: 参考:TwitterJapan 2017年10月27日投稿より

X(Twitter)のユーザー層
2016年2月の当時Twitter Japan社での記者説明会によると、2016年の当時から既に利用層は幅広く、主に10代の若者から40代のミドル層まで利用していると公表しています。
>>参考:ハフポスト NEWS Twitterが国内ユーザー数を初公表 「増加率は世界一」2016年02月18日
ユーザーによる利用方法の多様化(リア垢、情報垢、ROM垢など)
複数アカウントを所有
X(Twitter)ユーザーは、複数のアカウントを所有している方が多く、10代~20代の約半数は複数のアカウントを所有しており、30代~40代においても約20%はアカウントを2つ所有している様です。
アカウントを専用利用
これらの一般のX(Twitter)ユーザーは、複数アカウントを使い分けしています。
企業アカウントにとって、自社の投稿が、どのようなアカウントの利用方法にリーチし、拡散されるかを想定しておくことも大切なので、ぜひ、代表的な利用方法を理解しておいてください。
代表的なアカウントの利用方法は下記のとおりです。
リア垢 | リアルな実生活と連動している、知人・友人との交流ツール |
趣味垢 | 趣味嗜好が似ている人だけをフォローする |
情報垢 | 情報を収集するだけの目的に特化 |
ROM垢 | 自分では発信せずに、情報を閲覧するために利用 |
RT垢 | 賛同、共感した他者の投稿をリポスト(リツイート)することだけが目的 |
※垢:ネット上の俗語で「アカウント」の意味。
>>参考:impress・web担当者Forum
Twitterのリア垢・裏垢・ネット垢・愚痴垢・ROM垢・趣味垢……、みんな使い分けていた【ナイル調べ】
企業が複数のアカウントを運用するメリット
同じ公式アカウントから、日々のオーガニック投稿や、商品情報やイベント情報などを発信すると、ユーザーにとっては興味のない情報もタイムラインに入って来てしまいます。
そのことを鬱陶しく感じるユーザーがフォローを外してしまうことがあると考えられます。
複数のアカウントを開設した場合、目的やターゲット別に適切な情報を届けることができるので、イベント情報、商品情報、会社情報や、カスタマーサポートなどの目的や、それぞれのターゲットユーザーに合わせた精度の高い情報を提供することができます。
例えば、
企業の社会貢献活動や採用情報を投稿するアカウントと、商品ブランドの情報を投稿するアカウントが分かれている場合、商品ブランド専用の情報を投稿するアカウントには、その商品のファンが注目しフォロワーになります。
また、それらのフォロワーはその商品への興味・関心が高いので、エンゲージメント率が格段に上がるということになります。
ブランドごとにアカウントを開設している企業
森永製菓:商品ブランドごとにアカウント開設
有名商品が多い企業で、ブランド名ごとにアカウントを開設することで、商材ファンに特化した情報を投稿している事例です。
>>参考:森永製菓
キョロちゃん:@morinaga_CB
森永チョコレート:@MorinagaChoco

店舗や支社ごとにアカウントを開設している企業
タワーレコード:支店ごとにアカウントを開設
各店舗ごとにお勧めアーティストや、ストア内イベントの紹介が投稿されています。
ハッシュタグでは「#フラゲ日」(※)、「#CD入荷情報」を加えて、ビッグアーティストのアルバム発売を知らせる投稿を、店舗の陳列状況やポスターなどの画像とともに投稿されています。拡散はもちろんですが、趣味垢ユーザーからのインプレッションが狙える運用でもあります。
>>参考:タワーレコード
タワーレコード渋谷店:@TOWER_Shibuya
タワーレコード新宿店:@TOWER_Shinjuku

※フラゲ日:フライングゲットの略で、発売日より1日以上早く購入する(ゲットする)行為を指す俗語
店舗や支社などがある事業の場合に、支店ごとにアカウントを開設し、各支店から地元や店舗独自の情報などをリポスト(リツイート)している企業を多く拝見します。
また注力している商材を、全店舗で総力を挙げて投稿やリポスト(リツイート)し合うことで拡散することが可能です。
複数のX(Twitter)アカウントを運用している企業事例
東京メトロ
東京メトロでは路線ごとにX(Twitter)でアカウントを開設し、各路線ごとの運行状況や事故による運行停止などの緊急情報をリポスト(リツイート)しています。一方で、PR専用のアカウントもあり、正社員募集情報、イベントや、啓発活動などの紹介が投稿されています。
情報の混在を防ぎ、用途を分けたアカウント運用です。運行状況などはROM垢や情報垢ユーザーからのフォローやリポスト(リツイート)を狙える運用にもなります。
>>参考:
東京メトロ【公式】:@tokyometro_info
東京メトロ半蔵門線運行情報【公式】:@Z_line_info

DELL
PCメーカーのDELLでは、テクニカルサポートのX(Twitter)アカウントを法人と個人で分けて運用しています。それぞれのユーザーが質問する場所がはっきり分かります。
そのおかげで、法人の相談をX(Twitter)上でしてもいいのか迷っていたユーザーなど、どこに相談したらいいか分からないユーザーが相談しやすいようになっています。
また、X(Twitter)上のリプライでのサポートは、電話やWebフォームからお問合せするよりも、利用するハードルが低くなっているため相談がしやすいようです。
>>参考:
デル法人向けテクニカルサポート:@DellCaresPRO_JP
デル株式会社 個人向けテクニカルサポート:@DellCaresJapan

気象庁
気象庁は、メディア向けに公開している情報を投稿しているPRアカウントと、緊急性の高い防災情報を発信するアカウントと分けてX(Twitter)を運用しています。
報道機関向けアカウントでは、主な内容は、温暖化などの気象現象、地震予測、毎月の降水量報告などです。また気象庁防災情報のアカウントでは、台風や大雨、地震、火山噴火等の災害が想定される場合や、発生している場合に緊急情報として投稿されています。
>>参考:
気象庁:@JMA_kishou
気象庁防災情報:@JMA_bousai

ソフトバンク
ソフトバンクでは、新商品やキャンペーンの告知などをPRする「SoftBank」アカウントと、カスタマーサポートをする「カスタマーサービス担当」アカウントで分かれています。
「カスタマーサービス担当」では、一般ユーザーから、スマホの設定問題解決や、電話の破損など、多くの問い合わせコメントが投稿され、それに対してリプライ対応しています。目的がはっきりと分かれているため、新商品の情報が欲しいユーザーや、サポートを受けたいユーザーが、コメントを投稿しやすい運用となっています。
>>参考:
SoftBank:@SoftBank2020年3月5日投稿より
>>参考:カスタマーサービス担当:@SBCare
2020年3月5日投稿より
2020年3月12日投稿より

沖縄県庁
沖縄県庁では、X(Twitter)で広報用アカウントと、科学技術振興課用アカウントが運用されています。
広報用アカウントでは、県知事の活動や、「#うまんちゅひろば」という定期コンテンツを投稿されており県庁の活動やお知らせが満載です。科学技術振興課のアカウントは、沖縄県が科学技術の振興と産業化を目的としていることから、アカデミックな情報が多く、小学生が参加できるサイエンスイベントなどのお知らせが投稿されています。
別アカウントにすることで一般ユーザーに、企業や団体が力を入れているプロジェクトなどをアピールすることができる事例です。
>>参考:
沖縄県庁広報課:@okinawa_pref
沖縄県庁科学技術振興課:@okinawa_STpref

企業が複数のアカウントを運用するデメリット
- 運用リソースの確保
- 各アカウントの運用方針の維持
- 長期運用がむずかしい
複数のアカウント運用をするためには、それぞれのアカウントの目的をしっかりと定めて運用する必要があります。 また、それぞれ投稿内容を、それぞれのトーン&マナーに合わせて、適切なタイミングで投稿するというのは工数や知識が必要になります。
SNS運用担当者に負荷がかかるため、それぞれが上手く連携を取れていなかったりすることから、同じような内容が投稿されてしまったり、運用がストップしてしまうアカウントが出でいる事例が発生しています。
企業が複数アカウントを開設する場合は、それぞれの運用目的をもとに、自社で運用するだけでなく、SNS運用の代行を視野に入れてはいかがでしょうか。
まとめ:X(Twitter)で特化型のアカウント開設で情報発信の区分けをしよう。
SNSによる情報発信は、マスメディアに比べプライベート領域での「自分事」として受け入れられやすい情報となります。
特にX(Twitter)は「自分事」のプライベート領域メディアとして、企業が公式の情報発信にはお勧めですが、情報ジャンルや、投稿内容の混在はユーザーが困惑してしまうことにもなるため、特化した内容がある場合はアカウントを分けることをお勧めします。
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