X(旧Twitter)社は近年、さまざまなアップデートを重ねており、特に2023年1月に実装された「おすすめタブ」の登場により、自社の投稿がフォロワー以外のユーザーにも届くチャンスが増えました。
これは、企業アカウントにとって大きなチャンスである一方で、「どのような投稿が“おすすめ”に掲載されるのか?」「どうすればフォロワーのタイムラインに優先的に表示されるのか?」といった疑問の声も多く聞かれます。
本記事では、Xのアルゴリズムの基本のポイントを現時点で明らかになっている情報をもとにまとめております
2023年1月「おすすめタブ」ローンチ
X(旧Twitter)では、2023年1月にタイムラインの仕様が大きく変更され、いままでの「ホーム」とは別に、新たに「おすすめタブ」が導入されました。
これにより、ユーザーはフォローしているアカウントの投稿だけでなく、アルゴリズムによって選ばれたフォローしていないアカウントの投稿も「おすすめタブ」で見ることができるようになりました。
TikTokやInstagramのように個人の興味や関心に合ったコンテンツをシームレスに楽しめるスタイルに近づきました。またSNS側の目的としてはユーザーの利用時間を伸ばすためと見られています。
>>参考: Xヘルプセンター_「おすすめ」への取り組みについて
>>参考: Support(X(旧Twitter)Support公式アカウント)2023年1月11日投稿

SNSにおけるアルゴリズムとは
「おすすめタブ」やフォロワーのタイムラインに表示される投稿の基準
SNSのアルゴリズムとは、「どの投稿を、どの順番でユーザーに表示するか」を決める仕組みのことです。
X(旧Twitter)では、一見すると時系列順に投稿が並んでいるように見えますが、実際にはユーザーの興味関心に合わせて、表示される投稿の順番が調整されています。
この判断システムの「アルゴリズム」では、個々のユーザーの過去のリアクションや行動(「いいね」、閲覧時間、検索履歴など)やフォローしているアカウントとの関係、投稿の人気度など、さまざまな要素をもとに判別されてます。
多くのユーザーにSNSをより回遊し長い時間楽しんでもらうため、各ユーザーの興味関心のある投稿に出会えるように調整しているわけです。
X(旧Twitter)社がアルゴリズムの一部を公開
「GitHub」上でオープンソースとして公開
2023年3月31日、X(旧Twitter)は「おすすめタブ」のアルゴリズムの一部を、ソフトウェア開発者がソースコードを共有するクラウドベースのWebサービス「GitHub」上でオープンソースとして公開し、公式ブログでもその目的や仕組みについて解説したことが話題になりました。
>>参考: GitHub – twitter/the-algorithm: Source code for Twitter’s Recommendation Algorithm
※「GitHub」では実際のソースコードをダウンロードすることができます。興味のある方は、こちらからコードをダウンロードして確認できます。
X Engineeringのブログ記事
また、X Engineeringのブログ記事では「おすすめタブ」に表示されるアカウントの割合についても触れられており、ユーザーの利用状況によって異なるものの、表示される投稿の内訳は平均して、フォローしているアカウントや関連性の高いアカウントが約50%、フォローしていないアカウントが約50%となっているそうです。
>>参考: X Engineering – Twitter’s Recommendation Algorithm(2023年3月31日)
※X(旧Twitter)の公式の開発者向けの専用ブログサイトでは、「おすすめタブ」に投稿が表示されるまでのランキングの仕組みや、フィルタリングのプロセスについて紹介されています。
ここからは、アルゴリズムに影響を与える要素についてまとめています。
X(旧Twitter)のアルゴリズでおさえておきたい10のポイント
実際のところ、X(旧Twitter)のアルゴリズムのソースコードを完全に解析するのは非常に難しいことです。しかし、SNS運用を担当する立場としては、自社の投稿がどのように評価され、アカウントがどのように分類されているのかといった基本的な仕組みを理解しておくことが、運用の質を高めるうえで重要です。
今回は、注目されたXのアルゴリズム公開を受けて世界中で発信された情報をもとに、運用担当者が知っておきたい主要なポイントを10項目に整理しました。
参考にしたのは、ニュースサイト「GIGAZINE」の解説記事と、デジタルマーケティング企業Dub社のCEOであるSteven Tey氏のブログ記事です。
>>参考: GIGAZINE – Twitterの公開したアルゴリズムのソースコードで判明した「おすすめ」タイムラインに掲載されやすい投稿・掲載されにくい投稿まとめ
>>参考: Steven Tey氏 – How the Twitter Algorithm works in 2023(March 31, 2023)
(1)フォロー数とフォロワー数のバランス
X(旧Twitter)のアルゴリズムのひとつである「Tweepcred」では、「フォロワー数が少なく、フォロー数が多い」ユーザーは評価が下がる仕組みになっているとされています。
また、このアルゴリズムはユーザーの影響力や信頼性をスコア化し、「おすすめタブ」の表示にも影響を与えているようです。
つまり、自社アカウントの投稿をより多くの人に届けるには、「フォローした」アカウントとのバランスを見て、フォロワー数を増やすことも目指すことが重要だといえます。
>>参考: X Japan (@XcorpJP)
X(旧Twitter)ジャパンの公式アカウントです。フォロワー数が多いのでスコアでは高くなるアカウントということですね。

(2)X Premium (旧 Twitter Blue)加入者は優遇される
X Premium(旧 Twitter Blue)に加入しているアカウントは、アルゴリズム上で以下の2点において優遇されるとされています。
有料会員は認証バッジの取得や使える機能が増えるだけでなく、投稿の表示においても有利になる可能性があることがわかりました。つまり、X Premium(旧 Twitter Blue)への加入は、投稿の拡散力を高めたい企業アカウントにとって、検討する価値のある選択肢といえます。
- 同じネットワーク内の投稿者の場合(フォロワー):4倍アップ
- 異なるネットワークの場合(フォローしていないユーザー):2倍アップ
>>参考: Tesla(@Tesla)
X Premium(旧 Twitter Blue)は有料のX(Twitter)のサブスクリプションサービスで、認証バッジを取得できます。認証バッジはアカウント名の脇に表示されているギザギザマークです。契約条件によって色が異なります。

(3)エンゲージメントの質が最重要
エンゲージメントとは、「いいね」や「リポスト(リツイート)」、「リプライ」など、投稿に対してユーザーが示す反応のことを指します。X(旧Twitter)ではこれらのエンゲージメントがポイント化されており、その合計が投稿の評価に大きく影響を与えます。
今回注目すべきは、「リプライ」に関するアクションの評価が高く設定されている点です。
特に、投稿者自身がリプライやリアクションを返す行動も、ポジティブな要素として加点されるという興味深い内容も明らかになりました。
ポジティブな評価
エンゲージメント(ユーザーのリアクション) | スコア |
---|---|
いいね | 0.5 |
リツイート | 1 |
投稿をクリックし(投稿を詳細表示させる)、「いいね」またはリツイートする | 11 |
投稿に2分間とどまる | 11 |
投稿に「いいね」かリプライし、投稿者のプロフィールを見に行く | 12 |
リプライへの返信 | 27 |
もらったリプライに、投稿者がリプライ・「いいね」・リツイートする | 75 |
ネガティブな評価
エンゲージメント(ユーザーのリアクション) | スコア |
---|---|
「このツイートに興味がない」をタップ | -74 |
ミュート・ブロックされる | -74 |
(4)ブロックやミュート、報告などは評価を大きく下げる
閲覧したユーザーからの「ブロック」や「ミュート」、「スパム報告」などのネガティブなアクションは、アカウントの「評判スコア」を大きく下げ、アルゴリズムによる表示順位にも強い影響を与えます。
また、「フォローを外される」こともマイナス評価となりますが、こちらは90日間で影響が解除される仕組みになっており、ブロックやスパム報告などに比べると影響は小さいとされています。
企業アカウントとしては基本的なことですが、アカウントの信頼性を保つためにも、不快感や誤解を招く投稿を避け、健全なコミュニケーションを心がけることが重要ということですね。
- ブロック
- ミュート
- スパム報告
- フォローを外す(90日間で解除される)
(5)政府によるアルゴリズムの介入
企業アカウント運用にはあまり関係がないかもしれませんが、X(旧Twitter)では、必要に応じて政府機関がアルゴリズムに介入できる仕組みが整えられており、そのための専用コード「GovernmentRequested」が用意されていると報告されています。
選挙期間中など、社会的に影響の大きいタイミングでは、アルゴリズムが以下のような対応を行う可能性があります。
- 選挙候補者のアカウントを推薦する(おすすめアカウントに表示する)
- 誤情報の拡散を抑制する
(6)画像や動画の投稿はアルゴリズム上で有利
画像や動画を含む投稿は、テキストのみの投稿に比べてアルゴリズム上で約2倍のスコアが加算されるとされています。つまり、視覚的なコンテンツを加えるだけで、表示される確率が高まるというわけです。
動画の制作はハードルが高くても、画像であれば比較的手軽に運用できます。企業アカウントであれば、商品やサービスのビジュアル画像、イベント告知、などを画像付きで投稿することで、通常の運用に無理なく取り入れやすいと思います。
(7)スコア対象となる投稿は最大3件だが、スコアが高くなると投稿数の制限が解除される。
X(旧Twitter)のアルゴリズム「Tweepcred」では、スコアが65未満のアカウントに対して、ランキング対象となる投稿数が最大3件までに制限されているとされています。
しかし、スコアが65以上になるとこの制限が解除され、それ以降に投稿したツイートもすべてスコア付けの対象になります。ということはスコアが高いアカウントであれば、スレッドや複数投稿もすべて評価対象となるため、効果的な情報発信が可能になります。
日頃の運用で、連投してもインプレッションが増えないと感じるケースがありますが、これはこのスコア制限が影響している可能性があることが理解できます。日ごろは無理な連投はしないことがおすすめです。
(8)投稿の鮮度は時間とともに減少する
投稿の関連性スコアは、6時間ごとに約50%ずつ減少していく仕組みになっています。つまり、投稿から時間が経過するほど表示されづらくなるということです。
もともとX(旧Twitter)は「いま起きていること」を重視するリアルタイム性の高いSNSであるため、新しい投稿ほど優先的に表示される設計になっているようです。そのため、情報をタイミングよく投稿することが、より多くのユーザーに届ける上で重要です。
(9)スペルミスに注意
主に英語の投稿が対象と思われますが、スペルミスや不明瞭な言語と判定された場合、スコアが100分の1に下がるとされています。
日本語でも同様の影響があるかは不明ですが、意味が伝わりにくい文章や誤字脱字があると、アルゴリズムに正しく認識されず、表示機会を減らしてしまう可能性があります。企業アカウントでは特に、誤字チェックや投稿前の校正を習慣化することが大切です。
(10)ブックマークもスコア対象に
今後のアップデートで、「ブックマーク」機能も他のエンゲージメントのようにスコア対象になる可能性があると、公式情報の中で示唆されています。
現時点では詳細は未定ですが、アルゴリズム上の影響力が高まることが予想されるため、今後の発表や動向に注視していきたいところです。
外部リンクを含む投稿は表示順位が低い
2024年12月、X(旧Twitter)社のイーロン・マスク氏は、リンクを含む投稿の表示順位を意図的に下げていることを認めるような投稿をしていました。
詳細は、フォロワー数200万人以上を持つ起業家でプログラマーのPaul Graham氏が、リンクを含む投稿の優先順位が低下していることを指摘する投稿をした際に、イーロン・マスク氏がその投稿に返信するかたちで明らかにしました。
その内容は、「メインの投稿に外部リンクを直接含めるべきではなく、スレッド投稿としてURLを記載するように」といったアドバイスでした。
公式リリースではありませんが、この発言を踏まえると、外部のウェブサイトや別のSNSへのリンクを投稿文に加える際は、注意が必要であることがわかります。
>>参考: Elon Musk(@elonmusk)2024年11月25日投稿

まとめ:まずはアルゴリズムの基本をふまえて投稿を工夫し調整していきましょう。
今回は、2023年3月に公開されたX(旧Twitter)のアルゴリズム情報と、イーロン・マスク氏による2024年の発言をもとに、アルゴリズムに関する基本的なポイントをご紹介しました。
アルゴリズムと聞くと少し難しく感じるかもしれませんが、どのようなエンゲージメントが評価されるのかを知ることで、日々の運用にも活かしやすくなります。また「おすすめタブ」に表示されることで、既存のフォロワーだけでなく、フォローしていないユーザーにも投稿が届くチャンスが広がります。
まずは、基本的なポイントをおさえたうえで、自社に合った投稿内容やスタイルを少しずつ工夫・調整していくことからはじめましょう。
今後の投稿プランを立てる際に、当ブログの内容をご活用いただければ幸いです。
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