データにみるSNS企業アカウント運用のメリット

ヘッダータイトル画像:データにみるSNS企業アカウント運用のメリット

企業の公式SNSアカウント運用担当者は、アカウント開設・運用の必要性について、意見を求められる機会が多いのではないでしょうか。そこで本記事では、省庁やSNS企業などの公開データに基づき、公式SNSアカウント運用のメリットについて考察していきたいと思います。

目次

スマートフォンの普及状況

国内スマートフォン利用者が95.9%以上(2023年時点)

デジタル化が遅いと指摘される日本は、国際経営開発研究所(IMD)の「World Digital Competitiveness Ranking 2023(世界デジタル競争力順位)」において、2023年時点で32位と評価されています。

>>参考:国際経営開発研究所
 World Digital Competitiveness Ranking – IMD business school for management and leadership courses

一方、NTTドコモ「モバイル社会研究所」の調査によると、2008年のiPhone国内発売から15年以上が経過した現在、携帯電話利用者のうちスマートフォン利用者が95.9%を占めるまでに普及が進んでいることから、今後の世界的な評価の向上も期待したいところです。

>>参考:NTTドコモ
 モバイル社会研究所_モバイル社会白書Web版2023年版

参考画像:NTTドコモ_モバイル社会研究所_モバイル社会白書Web版2023年版より、2023年にスマートフォン利用者が95.9%に達しているグラフ。

スマートフォンの所持率は10代ほぼ100%、70歳以上の高齢者もほぼ90%(2023年)。

10代のスマートフォン所持率は、保護者による購入支援が必要となるため伸び悩んでいると推測されますが、NTTドコモ「モバイル社会研究所」の調査によると、15歳〜19歳では男女ともに9割を超え、男性97.5%、女性100%と高い保有率を誇っています。

これは、昨今のSNS発信におけるトレンドが10代からの影響力を受けていることを裏付けるデータと言えるでしょう。また、70代以上の利用もほぼ90%と成長していることも、高齢者のインターネットの利用の伸びも期待できる所持率となっています。

>>参考:NTTドコモ
 モバイル社会研究所_モバイル社会白書Web版2023年版

参考画像:NTTドコモ_モバイル社会研究所_モバイル社会白書Web版2023年版より、年代別スマートフォン所持率。

SNSの利用状況

インターネットの利用状況

総務省情報通信政策研究所の「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、全世代において「動画投稿・共有サービス」の閲覧がインターネット利用時間のトップに立っています。次いで「ソーシャルメディアを見る・書く」が続いています。

学生が多い10代や、社会人でかつ家庭生活者が多くなる30代〜40代と比べると、1人時間が多い20代は特にインターネット利用時間が長いことが調査結果で明らかになっています。

>>参考:総務省-情報通信政策研究所
 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 (令和5年度(2023年度))より

参考画像:総務省、情報通信政策研究所、情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 (令和5年度(2023年度)より

インターネット利用におけるSNSの平均利用時間の伸長

同様の総務省情報通信政策研究所の2016年と2023年の調査結果を比較分析したところ、全世代において利用時間が15〜20分以上増加していることが明らかになりました。

特に、「ソーシャルメディアを見る・書く」の平日での平均利用時間は、20代が26.5分、30代が24分と顕著な増加が見られました。また週末の平均利用時間では、50代の23.9分という増加も注目すべきポイントと言えると思います。

>>参考:総務省-情報通信政策研究所
 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 (令和5年度(2023年度))より

参考画像:総務省-情報通信政策研究所、情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 (令和5年度(2023年度))よりインターネット利用におけるSNS利用時間(年代別)

SNSの年代別利用状況

主要SNSの国内ユーザー数について、各SNS企業から詳しくは発表されていません。そこで総務省とNTTドコモ社の「モバイル社会白書」から利用状況を考察したいと思います。

NTTドコモ、モバイル社会研究所の2023年報告によると

  • LINEは全世代で利用されており、60代は77.1%、70代が69.6%と高齢者の利用が多くなっている。
  • Facebookは、30代で32.8%が最も利用しており、10代では20%以下と最も利用されていない。
  • TikTokは10代が42.3%、20代が21.5%と、若者層に圧倒的に利用されていることが分かる。

>>参考:NTTドコモ
 モバイル社会研究所_モバイル社会白書Web版2023年版

参考画像:NTTドコモ、モバイル社会研究所_モバイル社会白書Web版2023年版よr、年代別利用プラングラフ。

総務省、情報通信政策研究所の「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 」(令和5年度)によると

  • LINEの利用が全世代で80%以上。
  • YouTubeはLINEに次ぐ利用率の高さで20代の98.2%が高く、60代でも66.2%と高い利用率である。
  • Instagramの利用は、10代は70%、20代は73.3%、30代は63%と若者層からの利用が高い。
  • X(Twitter)は20代の利用が最も高く78.8%であった。
  • TikTokは10代の66.4%が最も高く、次いで20代の47.9%と10代を中心とした成長が伺える。

>>参考:総務省-情報通信政策研究所
 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 (令和5年度(2023年度))より

参考画像:総務省-情報通信政策研究所、情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 (令和5年度(2023年度))より

情報収集ツールとしてSNSの台頭

ユーザーが自ら発信したり、他者のコンテンツを閲覧するSNSはどのように利用されているのか見て参りましょう。

メディア比較:情報源としての利用と信頼度の違い

興味深い傾向としては、マスメディアとインターネットの利用の比較で、情報源として重要なのはインターネットですが、各世代で信頼度は新聞とテレビがインターネットを上回ります。情報源としては、10代〜40代はインターネットを重要視しており、50代以上はテレビが高くなっています。
ユーザーは状況に応じて、新聞やテレビなどのマスメディアとインターネットを使い分けていることが示唆されており、デジタルリテラシーの向上も伺えます。

>>参考:総務省-情報通信政策研究所
 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 (令和5年度(2023年度))より

参考画像:総務省-情報通信政策研究所、情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 (令和5年度(2023年度))より、情報源としての重要度と各メディアの信頼度比率。

ニュースなどの報道情報を得るメディアの推移

ニュースや報道情報を得る方法を2010年からの推移をみると、マスメディアである「テレビ」がトップで、次いで「パソコンや携帯電話でのWebサイト・アプリ閲覧」は2010年ではテレビと同様に上位であったものの蛇行しつつ徐々に下降しています。2017年から調査項目に加わった「ソーシャルメディア」が右肩上がりで増加し、2023年には「新聞」を越しています。

2010年
  1. テレビ:76.3%
  2. パソコンや携帯電話でのWebサイト・アプリ閲覧:75.4%
  3. 新聞:60.7%
  4. パソコンや携帯電話へのメールマガジン:26.1%
  5. ラジオ:21.6%
  6. 家族や知人からのメール・通話:16.1%

※201年はソーシャルメディアは調査無し。

2023年
  • テレビ:72.0%
  • パソコンや携帯電話でのWebサイト・アプリ閲覧:56.9%
  • ソーシャルメディア:40.3%
  • 新聞:40.2%
  • 家族や知人からのメール・通話:19.7%
  • ラジオ:18.7%
  • パソコンや携帯電話へのメールマガジン:18.6%

>>参考:NTTドコモ
 モバイル社会研究所_モバイル社会白書Web版2023年版

参考画像:NTTドコモ、モバイル社会研究所_モバイル社会白書Web版2023年版よりニュースなどの報道情報を得るメディアの推移。

買い物や趣味に活用するメディア

ショッピングや趣味に関する情報を得るメディアでは、他の年齢層に比べて10代〜20代のSNSの重要度が顕著に出ています。40代〜50代は、インターネットで「Webサイト・アプリ」を利用したり、「テレビ」からも情報を取得していることが分かります。

>>参考:NTTドコモ
 モバイル社会研究所_モバイル社会白書Web版2023年版

参考画像:NTTドコモ、モバイル社会研究所_モバイル社会白書Web版2023年版より「ショッピングや趣味に関する情報を得るメディア」

SNSが与える消費行動への影響力

消費者庁による消費者意識基本調査(令和5年11月調査)によると、商品やサービスについての情報源として重要視しているのは、「家族・友人・知人」の36.1%が最も高く、「インターネットと記事やブログ」が29.9%、次いで「テレビ・ラジオ」が27.2%でした。SNSは8位で18.9%でした。

いろいろな情報を加味してからの購入や契約にいたる決断の一つにSNSが入るということは、SNSでの口コミやレビューによる影響力があることが分かります。

>>参考:消費者庁
 消費者意識基本調査 (令和5年11月調査)

参考画像:消費者意識基本調査(令和5年11月調査)より商品・サービス購入時に重要視する情報源。

X(Twitter)社によるユーザー調査

X(Twitter)でユーザーは購買前に口コミを検索し、さらに購買後に口コミを投稿する傾向がある。

X(Twitter)社のマーケティングブログに公開されているデータによると、X(Twitter)上に多くの口コミがあることを理解しているユーザーが多いようで、商品情報の検索に利用しているユーザーが46%、さらに自身の利用した感想を良いとおもった場合に投稿したくなるというユーザーが約40%という結果が出ていました。

>>参考:Xマーケティング
 社会人とTwitte利用(2022/05/20)

参考画像:Xマーケティング、社会人とTwitte利用( 2022/05/20)より、X(Twitter)で購買前に口コミを見ているというグラフ。

Meta社によるInstagramユーザー調査

潜在顧客との出会いと行動になるチャンス

Meta社のビジネスブログに、Instagramについてのユーザーの行動アンケートによる報告が公開されています。
調査対象となったユーザーは、Instagramによって新しい製品やサービスを発見した方は83%、さらに製品やサービスについて調査をInstagram上でしているユーザーが81%、そして購入するかを決めるさいにも80%のユーザーがInstagram上の様々な投稿を参考にしているようです。

>>参考:Meta for Business
 Facebook IQ: How Instagram Boosts Brand and Drives Sales (2019/02/07)

参考画像:Meta for Business、Facebook IQ: How Instagram Boosts Brand and Drives Sales (2019/02/07)より、Instagramの役立つポイント比率。

Bytedance社によるTikTokユーザー調査

TikTok社のビジネスブログによるインサイトデータが公開されています。

ミレニアル世代の72%が公式アカウントのフォロワーになる

他にも、ミレニアル世代の78%のユーザーが、TikTok使用中にWebサイトを訪問するなど、ブランド(企業)による公式投稿は受け入れられやすく、新しい出会いとなりネット回遊も促せているということが分かります。

>>参考:TikTok for Business Insights
 Research Tool _Learning and Resources

参考画像:TikTok for Business Insightsより、日本のオーディエンス調査

まとめ:企業SNSアカウントは接点を増やすチャンスに。

事業やサービス、商品によってはターゲットをSNS上に見出すには難しい場合がありますが、SNSには企業側からの接点を得られるチャンスがあり、マス広告などでは得られないチャネルとなることが、いろいろなデータから理解できたと思います。

インターネットにおけるSNS利用が全世代で成長

スマートフォン利用者が95.9%と増加し、手もとにあるスマートフォンで、Webサイトや映像視聴の利用の他に、SNSの利用も成長していることが今回、様々なデータで見うけられました。

また10年前にSNSに最初に触れた世代も50代に差し掛かり、大人世代にもSNSの利用に対する心理的ハードルが低いユーザーが増えることから、年齢層の広がりが期待されます。

ユーザーはSNSで趣味や娯楽に関する情報を検索している。

ユーザーはSNSで情報を収集しており、さらに商品やサービスの感想などを投稿する(UGC)こともわかりました。

一般ユーザーは企業の公式アカウントに好意的である。

多くの調査結果において、一般ユーザーは企業の公式SNSアカウントからの情報発信に好意的であることが示されています。これは、SNSがユーザーと企業の接点を生み出し、良好な関係を構築する場として有効であることを意味していると思います。

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