企業アカウント開設時に運用担当者が決めることリスト!

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日本でSNSが普及して約10年になり、SNSの登場でメディアは大きく変わりました。SNSユーザーには、世の中で配信される多くの情報の中から、マスメディアやWebサイトではなく、あえてSNSでリアルな情報を検索する傾向が出ているため企業でも軽視できない状況です。

企業でもSNSを活用しようという動きのもと、ある日突然、SNS担当者に任命される方も多く、何から始めていいものか頭を抱える方も多いようです。SNSアカウントは気軽に開設できますが、企業アカウント開設にあたって、SNS運用担当者が社内で策定しなくてはいけないことが少なくありません。
そこで、今回はアカウント開設前の確認事項をご紹介させていただきます。

1:SNS運用の目的

とりあえずSNSが流行っているから、SNSは拡散できるからなど、大まかな理由でSNS開設を決定している企業が多いようですが、「SNSを活用して何がしたいのか?!」というおおよその目的を決定することで、方向性が決まり安定した運用ができるので、まず始めに確認しておく必要があります。
以下の運用目的を複合的に運用に取り入れている企業アカウントもありますので、ベンチマークされている企業アカウントを参考にすることもお勧めです。

主な運用目的(運用方針)
  • 啓蒙・ブランドイメージの普及
  • ファンとの関係強化
  • SNS経由し自社メインメディア(商材Webサイト)への誘導
  • 活きた掲示板活用

ここからはしっかりとした運用方針のもと運用されていると思われる企業アカウントを見ていきましょう。

啓蒙・ブランドイメージの普及

とにかく社名や商材の認知に注力した運用です。BtoC、BtoB問わず企業や商材の知名度を一般的に広め、かつイメージアップするためにSNSを活用するパターンです。

>>参考:ボーイング社Instagramアカウント
 The Boeing Company

世界的に有名な航空機や宇宙機器の開発製造会社のInstagram公式アカウントです。
まさしくBtoB商材ですが、Instagramで良質で興味深い写真を投稿することで、一般ユーザーに好印象をあたえる運用をしているアカウントです。 スマホ用の壁紙画像を掲載しファンが利用できるようにストーリーズをアーカイブ掲載するなどInstagramの機能を活用しています。

参考画像:The Boeing Company(Instagram公式アカウント)の投稿より

ファンとの関係強化

SNSは一般ユーザーや商品のファンからコメントや反応などがあり、コミュニケーションが取れるのもアカウント開設のメリットの一つです。ユーザーからの商品に関する質問などもあり、時にカスタマーサポートに繋がる活用となります。

>>参考:花王 アタック(おせんたく全般)X(Twitter)アカウント
 @kao_attackjp

「中の人」でも有名な花王アタックのTwitterアカウントです。
有名企業アカウントとの交流や、商品についての紹介、絵文字を駆使したユニークな投稿などTwitterの良さを活かした運用をしています。ファンとのコミュニケーションを盛り上げている運用スタイルは、参考にしたい点です。

参考画像:花王 アタック(おせんたく全般)の公式X(Twitter)アカウントのプロフィール画面と、投稿より。

SNS経由で自社メインメディア(商材Webサイト)へ誘導

SNSを経由して自社Webサイトへの誘導を目的とし、流入メディアの一手として活用するスタイルです。
ECサイトでも見られる運用方法で、アパレル系の企業アカウントなどはSNSで商品を紹介し、購入を促すため投稿内容にリンクを掲載し、ショッピングサイトへ誘導している運用が多く見受けられます。

>>参考:CNN Japan、X(Twitter)アカウント
 @cnn_co_jp

アメリカのニュース専門チャンネルのCNNジャパン(日本版)のTwitterアカウントです。
タイムリーな世界のニュースをツイートしています。投稿されたニュースの続きを読みたくなるようになっており、Webサイトへの誘導に特化した運用です。

参考画像:CNN Japanの公式X(Twitter)アカウントのプロフィール画面と投稿より。

活きた掲示板活用

リアルタイム性のあるTwitterで多く見られる運用スタイルです。緊急情報や、障害情報、公式情報をいち早く投稿し、SNSで最新情報を検索するユーザーへのリーチを目的とした運用です。

>>参考:東京メトロ銀座線運行情報【公式】X(Twitter)アカウント
  @G_line_info

東京メトロは各線にTwitterで公式アカウントを設けています。
普段は、午前7時に朝のあいさつと共に運行状況を、午後5時の帰宅時に合わせて運行状況を知らせる投稿がされています。遅延や事故の際の公式アカウントからの緊急のお知らせは、デマを防ぐためにも利用客には重要です。

参考画像:東京メトロ銀座線運行情報の公式X(Twitter)アカウントより

2:どのSNS(プラットフォーム)で開設するか

SNSごとに違うユーザー層

それぞれのSNSが日本で独自の成長を遂げ、ユーザー層と活用シーンに特徴が表れて来ているため、前段で触れた運用の方向性に合わせたSNSを選択することをお勧めします。

SNS国内月間
アクティブユーザー数
概要
LINEMAU 9,600万
(2023年9月末時点)
各世代に普及し「連絡ツール」としてインフラ化している。ビジネス向け「LINE公式アカウント」では、友だち追加によるメルマガは開封率が高く、クーポン配信では常客とのパイプツールになる。
X(Twitter)MAU 4,500万
(2017年10月27日時点)
リアルタイムな情報を得るSNSへと成長。拡散力に長けている。
近年では、口コミ情報のプラットフォームとしても利用されている。
InstagramMAU 3,300万以上
(2019年3月時点)

※2023年11月開催のカンファレンスで2倍になったと発表されたことから、
約6,600万以上と想定される。
以前のユーザー層は女性(FI層)がメインであったが、近年、男性女性の利用比率に大きな差が無くなっている。
画像と動画による視覚によるアプローチで拡散性は強くストーリーズや、ショッピング機能などの機能拡張が進んでいる。
FacebookMAU2,600万
(2019年7月時点)
実名制であり、セグメント設定など広告に有利。
フォロワーとの関係強化に向いている。ターゲティング広告は精度が高い。
TikTokMAU 950万
(2019年2月5日時点)

※16歳以上のMAUは約1,700万まで増加していると、
一部メディアで報道(2021年10月7日公開)。
15秒から10分のショート動画を投稿したり視聴でき、動画によるコンテンツ交流を軸にしたプラットフォームで、各投稿に第三者からのテキストによるコメントや「いいね」でコミュニケーションが取れるSNS。

>>参考: 
 LINEヤフー for Business:2024年4-9月期 媒体資料 2024年4月~2024年9月期版 v1 より
 X(旧Twitter)@XcorpJP:017年10月27日投稿より
 Meta Newsroom Instagram:国内月間アクティブアカウント数が3300万を突破(2019年06月07日)
 CNET Japan:フェイスブック ジャパン長谷川代表が語る「退任の真意」–独占ロングインタビュー(2019年07月08日)
 ITmedia マーケティング:TikTokはコミュニケーションプラットフォームとして2019年の日本でどう進化するか(2019年02月05日 )
 MarkeZine(マーケジン):「2021年に活用を始めないと乗り遅れる」電通天野氏に聞くTikTok活用の今

主要SNSについて説明しましたが、この他にも、10代の利用が多いTikTokや、20代~30代の利用があるPinterestなどもあるため、運用目的とターゲット層に合わせてSNSをお選びください。

SNSマーケティングの入口ともなる企業アカウント!商材のマーケティングフェーズによってもSNSの選択に注意が必要。

認知されていることが必要なLINE「友だち」

LINEのビジネスアカウントは、認知されている企業や商材の場合には、「友だち」登録に有利とされています。
認知度の高い商材アカウントの場合、お得な情報を配信することで、ファンやリピーター(上客)が「友だち」登録し、投稿をチェック(開封)します。 またその反対に、これから商材を知ってもらうスタートアップ企業にとっては「友だち」登録までの誘導が難しい場合があります。
そのため、自社の商材のマーケティングフェーズに合わせたSNS(プラットフォーム)選びが重要になります。

3:キャラクター設定

SNS運用では、「中の人」という言葉をしばしば耳にします。SNSユーザーにとって担当者「中の人」が、コミュニケーターとして重要視されることが多くなっていることから、企業アカウントの一人称となるキャラクター設定も欠かせない策定項目の一つです。

【 キャラクター設定例 】
・広報担当者やSNS運用担当者(中の人)
・キャラクター(企業マスコット)
・カスタマーサポート風

企業のマスコットキャラクター(ゆるキャラ)がある場合

もし自社にキャラクターなどデザインされている物があれば、使用の可否を確認してみてはいかかでしょうか。また、そのキャラクターを個性付ける設定が無い場合は決定することもお勧めします。そのキャラクターが話す投稿スタイルが確定できます。

【 キャラクター設定項目例 】
・出身地
・年齢
・好きな食べ物
・苦手なこと
など

投稿のトーン&マナー

「中の人」であっても「マスコットキャラクター(ゆるキャラ)」であっても、例えば、節度ある口調なのか、カジュアル口調なのか方向性を決めることで、掲載するクリエイティブ(画像・動画)や投稿文の作成基準となるため需要な点と言えます。

>>参考:どうぶつの森、公式X(Twitter)アカウント @doubutsuno_mori
有名ゲームタイトル「どうぶつの森」のTwitterアカウントです。
「村の役場スタッフ「しずえ」ちゃんがつぶやいてます。ゲームの最新情報や、イベント情報を投稿しています。

参考画像:どうぶつの森の公式X(Twitter)アカウント

4:認証バッジについて

「公式マーク」や「認証マーク」と言われています。

SNSプラットフォーム企業の経営者が入れ替わり方針が変わるのど、日々動いていいますが、公式アカウントとして証明でき、一般ユーザーに安心感を与えることができるので、ぜひ有料のものもありますがぜひ登録申請をして下さい。

X(旧Twitter)は3色の認証バッジ(公式マーク)

認証バッジの色付与対象
青色バッジ個人・企業(ブランド)
有料のサブスクリプションサービスTwitter Blue(現在:X Premium)を契約する。
金色バッジ企業やビジネスブランド、非営利法人。
「X認証済み組織」に申請。ブスクリプション基本料金(月額):135,000円。
グレー色バッジ政府機関、多国間機関、またはその関係者。
「X認証済み組織」に申請。X(Twitter)社の基準を満たしていれば無料で付与される。

Facebookページの認証バッジ(公式マーク)

Meta認証(Meta Verified)サービス開始

2023年7月、Meta社がグループSNSサービスのFacebookとInstagram向けに、有料サブスクリプション「Meta認証」をスタートし、日本でも順次スタートすると発表されました。基本的に18歳以上の個人ユーザー、クリエイターアカウントが対象のため、企業やブランドのビジネスアカウントは対象外です。

アカウント側からの直性申請が可能。

下記のフォームから申請が可能です。

>>参考:Facebookヘルプセンター
 Facebookの認証バッジをリクエストするにはどうすればよいですか。

Instagramの認証バッジ(公式マーク)

2021年9月に直接申請が可能に

アカウント側からの直性申請が可能。

アプリのプロフィール画面の「設定」→「アカウント」→「承認のリクエスト」から認証バッジ申請フォーム画面になります。

5:投稿の頻度とリプライ対応

SNSによって、更新頻度は工夫が必要です。

Facebookページの場合

独自のアルゴリズムにより掲出されるため、投稿数を増やしてもユーザーのニュースフィードには表示されずリーチに繋がらないこともあり、また既存フォロワーには、常に同じ企業アカウントから投稿されたものが何回も表示される現象が起きるため、投稿回数が多くても意味がない場合があります。
Facebookページでは、2日に1投稿(週に4投稿)程度を想定し、投稿回数より質をイメージしたライティングが必要とされます。

X(Twitter)の場合

時系列でどんどん情報が流れていきます。各ユーザーのタイムラインに表示されるためには、1日数回の投稿が必要とされています。そのため最低でも1日1回は必須で、フォロワーへ印象を残すためには1日4回以上の投稿をお勧めします。

返信対応

興味関心を引いた投稿には一般ユーザーからコメントが付きますが、全てのコメントへ返信対応するには限度があります。そこで、コメント返信数を決めておく必要があります。またコメント返信対象は、先着順にするのかランダムにするのかも決定しましょう。
ちなみに、企業アカウントによっては、徹底して返信対応をしないことを運用ルールにする場合もあります。

6:投稿プラン・カレンダー

活きたアカウントにするためには継続的な投稿が必要です。前段で触れた投稿頻度が確定したら、ネタ切れが起こらないように投稿プランを立てましょう。

#今日は何の日やシーズントレンドを元に投稿プランを立てよう

世間一般で言われる販促カレンダーや「#今日は何の日」などをもとに季節にあわせたライティングがお勧めです。
また、その年のイベントやトレンドにも絡めたライティングもSNSでは好まれるため、スポーツイベントや話題の映画など、常に投稿を意識した情報収集を欠かさないようにしましょう。

7:実はWebサイトとの連携が必要

SNSへのリンク掲載依頼

WebサイトにあるSNSのロゴ(アイコン)は公式アカウントへの導線としてSNSユーザーに認識されているので、Webサイトのフッターエリアなどに各SNSのロゴマークを設置し、WebサイトからSNSアカウントへリンクするように設定しましょう。

>>参考:アサヒビール株式会社Webサイト
  アサヒグループ ソーシャルメディアアカウント一覧

参考画像:アサヒビール株式会社WebサイトのSNSアカウント一覧ページ

キャンペーン企画時のLP(ランディングページ)作成

企業アカウントの目標の一つであるフォロワー増強のためにSNSキャンペーンを企画することがあります。その際は、WebサイトにLP(ランディングページ)を設定し、キャンペーン詳細を掲載する必要があるためWebサイト担当者との連携が必要となります。

8:SNS広告について

企業アカウントの認知・拡散をさらに強化するため、リーチを伸ばすため広告を利用する場合があります。 FacebookページやInstagramはセグメント設定などを駆使し、ターゲットを絞り広告を配信できます。両方のアカウントがなくても、FacebookページのアカウントがあればInstagramへの広告配信も可能です。
また、Twitter広告は投稿するカード類も豊富なため、エンゲージメントや反応を狙うことも可能です。

SNS広告は、費用が掛かるのも事実ですが、マス広告に比べて安価で、リスティング広告よりも個々のユーザーのプライベート領域に繋がるため有益であることは事実です。
運用が落ち着いてから、次のステップアップの際に計画に入れてみてはいかがでしょうか。

9:運用体制・担当者

担当者は他の業務と兼務では負担となります。改めて社内リソースの確保と工数を確認・決定する必要があります。 1アカウントを複数名で運用している企業アカウントもあるので、「中の人」が何名か存在することで面白さも増すので問題ではありません。

>>>参考:東急ハンズ広報、公式X(Twitter)アカウント
  @HintMarket※現在このアカウントは削除されています。

参考画像:東急ハンズ広報の公式X(Twitter)アカウント、本当に残念でしたが、こちらのアカウントは削除されました。

緊急時の公式情報は?!

商材に何らかの障害が起きた場合には、SNSに公式情報を掲載するのかどうかを社内で確認しておきましょう。

サービス障害や災害時の社内でのエスカレーション(連絡網)の確認も必要となりますので、広報担当者との連携や、Webサイトとの関連もあるため明確化する必要があります。

10:まとめ_カジュアルなコミュニケーション領域での運用を心がける。

最後に理念のようなことになりますが、

カジュアルなコミュニケーションが中心となるSNSにおいて、ビジネス目的の営業活動が突然行われると、一般ユーザーに不快感を与えることがあります。

そのため、独自に発展してきたSNSを効果的に活用するには、慎重な配慮と工夫が不可欠だということを日ごろから筆者も意識してSNS運用に携わらせていただいております。

まずは自社とのコンシェルジュとなるようなアカウントを目指して運用をしましょう。そのためのアカウントの運用方針や体制を整えることをお進めします。

企業アカウントの担当者になった方々に、このブログがご参考になればと思います。

お気軽にお問い合わせください。