マーケティング施策がデジタルシフトしつつある中、拡散性のあるX(Twitter)に活路を見い出すべく弊社にも多くのSNS担当者の方々からご相談を頂いております。
社内からは「中の人」みたいなアカウントにして欲しいというリクエストもあるようです。そこで今回は、「中の人」運用の事例を見つつ、「中の人未満」の運用をしている企業アカウントが取り入れられるポイントをまとめました。
まずは、「中の人」で有名なX(Twitter)企業アカウントを見てまいりましょう。
「中の人」で有名なX(旧Twitter)企業アカウント事例
SNSでの「中の人」は、X(Twitter)で広まった言葉で、SNSの企業アカウントを社内で運用している人を指します。 その企業の窓口として、商品やサービスについての告知だけでなく、親近感が沸く人間味のあるメッセージを投稿することで、多くのフォロワーに支持されている人気の「中の人」がいます。
SHARP シャープ株式会社
>>参考: @SHARP_JP
シャープ株式会社の公式X(Twitter)アカウントです。
「中の人」の草分け的存在であるシャープさんは、ジャパン・デジタル・コミュニケーション・アワードでエンゲージメント賞を受賞されるほどです。
家電製品ではない、シャープ製のマスクがコロナ禍で話題になるなど、その一端は「中の人」による情報拡散が認知につながっていたと思います。自社製品の情報はもちろん、その季節ごとの話題や、シャープさんの考えや思いを投稿しています。加えて、フォロワーの投稿をリポスト(リツイート)するなど、さらにファン化に繋がる運用スタイルは、見習いたい点です。

株式会社タニタ
>>参考: @TANITAofficial
健康機器メーカー、株式会社タニタの公式X(Twitter)アカウントです。
2011年1月にアカウントを開設し、運用は10年になるそうです。こちらのタニタ公式アカウントの「中の人」は、朝のご挨拶ツイートに始まり、タニタに関する投稿をしたユーザーを取り上げ、引用リポスト(リツイート)をするなど、活発な運用が続けられています。
同グループの他公式アカウントのリツイートもすることで、商品やサービス情報の拡散にも徹底しています。企業グループで複数のアカウントを開設した場合に、コミュニケーション役のアカウントがあることで、ファンとの交流だけでなく、雰囲気づくりにも役立つことが明らかになる事例だと思います。

わかさ生活 広報部
>>参考: @WAKASASEIKATSU
サプリメント・化粧品メーカー、株式会社わかさ生活の公式X(Twitter)アカウントです。
2020年夏ごろから運用がリニューアルされたようです。投稿数も多く、トレンドワードへの反応も早く、フォロワーなどの投稿に対しての返信対応数も多く、フォロワー数の伸びは、これらの運用のがんばりの結果だと思います。
マスコットキャラクターのブルブルくんのぬいぐるみを活用した投稿で話題になり、また他企業の「中の人」との交流後に開発されたコラボ商品など、X(Twitter)運用によるマーケティングの広がりが見受けられます。

「中の人」運用の特徴
突然、SNS担当者になった方が「中の人」になるには難しく相当の努力が必要だと筆者が思う点は下記の通りです。
(1)全てにおいてタイムリー
例えば、「中の人」は下記の様に地震発生時に自分の言葉で投稿をしています。地震情報をリポスト(リツイート)するなど、ユーザーと今を生きていることが感じられる運用をしています。
>>参考:株式会社タニタ
@TANITAofficial
2021/2/13の地震発生時の投稿。他アカウントで地震の詳細が投稿されると引用リポスト(リツイート)もしていました。

(2)#今日は何の日は外さない
商品やサービスに関わる「今日は何の日」にユニークな投稿をしています。
>>参考:東急ハンズ
@TokyuHands ※こちらのアカウントは@TokyuHandsさんから承認された場合のみポストを表示できます。
2021/2/22の#猫の日に、提供しているラジオ番組のコーナーにかけて、アカウント名を「東急ニャンズ」に一時的に変更し、フォロワーと交流しています。

(3)関係ある投稿やコメントにセンスある投稿
ファンだけでなく、商材のライトユーザーからのツイートに、「中の人」として交流をしている。ユーザーに好感・共感を得るアクションは「中の人」のセンスが光るところです。
>>参考:味の素冷凍食品
@ff_ajinomoto
冷凍商品を使ったことで夫からクレームを言われた旨を投稿した主婦に対して、主婦の味方である冷凍食品は「#手抜き」ではなく「#手間抜き」なのだと社会的に訴えた投稿は話題になり、テレビでも取り上げられました。

「中の人」運用を取り入れるには難しい背景が企業アカウントにはある。
オリジナルの投稿だけでなく、リポスト(リツイート)やコメント返信数の多さ・俊敏さは、それぞれの「中の人」が企業に信頼され責任を持って運用しているからこそだと思います。
社内の承認フロー
上記事例の「中の人」のように、社名を出した公式アカウントの投稿を全て委任する企業は少なく、企業によっては広報などのチェック部署に内容を承認されてから投稿する企業も多いため、話題になっているニュースや事象に対してタイムリーに投稿することが難しい現状があります。
営業時間外の活動
生活の一部として常に運用を担うことも多いため、リソースが確保できないこともあるため、運用スタイルを「中の人」運用にシフトできない企業が大半と思われます。
「バズる」の意味を教育する必要性
「バズる」ことで公式アカウントが話題になり認知されるチャンスとなりますが、悪ふざけ・悪意を感じるナンセンスな投稿をすることで、ブランドの印象を下落させる可能性があります。
「中の人」が「バズる」のは、面白く興味深い投稿で、かつタイミングよくトレンドを踏まえているから話題になるのです。これはセンスを問われるため、頭がビジネスライクな状態となってしまった会社員には道徳面でのITリテラシーが必要です。
「中の人未満」の運用でもコミュニケーションを取り入る
アクティブサポート・コミュニケーションを取り入れる
通常の投稿に加えて、一般ユーザーと交流をするアカウント運用をする。
貴社の商品やサービスについて投稿したユーザーをX(Twitter)上で発掘し、公式アカウントから能動的に(アクティブに)お礼や挨拶をします。企業側から声がけすることで、ファンの聞き手となり関係強化に繋がります。
何らかの不明点がある場合は、助けとなる詳細を得られるWebサイトを紹介するなど、商材ユーザーの離脱を防ぐ施策にもなります。

まとめ:「中の人未満」でも交流を取り入れよう
筆者は、決して「中の人」運用を否定しているわけではありません、X(Twitter)上で一般ユーザーと交流したり、味のある面白い投稿をするなど、まさしくブランド向上に役立つSNSの理想とする運用方法です。
上段で触れた「中の人」運用の特徴を踏まえて、社内でリソースや承認フローの改善ができ、環境が整うのであればチャレンジする価値のある運用方法です。
現状を鑑みると「中の人」運用を取り入れるには難しい場合に、下記のようにアクティブサポートを加えるるなど、「中の人未満」の運用でも出来ることがあることをご理解頂ければ幸いです。
- アカウント運用に特化した人材が必要
- タイムリーな投稿を瞬時に投稿できる社内環境を確保
- 担当者の努力とSNSライティングのセンスが必須
- フォロワー、商材ファン、またそれ以外のライトユーザーともコミュニケーションをとる
- カジュアル以上、ビジネス未満の文章スタイル(口調)で投稿
- 定期的な運用を心がけ、ネタ切れ防止のため投稿プランを立てる
- アクティブサポートで、商材ユーザーやファン、ライトユーザーと交流する
投稿のタイミングやワードセンスなど、有名なX(Twitter)の「中の人」に尊敬の念が尽きません。筆者も精進したいと思っております。
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