全世界の中小企業のアクティブなFacebookページアカウント数は約6,500万ページ(2017年4月)と世界的に伸びてきており、海外では企業が自社のFacebookページを持つことが当たり前となりました。
Facebookの特徴の一つに、コメント欄のやり取りを通してファンと直接コミュニケーションがとれるという点がありますが、投稿に対してコメントがついた際に返信をおこなうべきかどうかなど、ユーザーとのコミュニケーション設計にお悩みの企業が多いのではないでしょうか。
Facebook上では企業の対応を多くのユーザーが誰でも見ることができます。その対応を真摯におこなうことで企業の信頼度や好感度アップに繋がり、新たなファン獲得に繋がりやすいSNSでもあります。企業アカウントのFacebookページでは、ただ情報発信をするだけではなくファンに対する企業側からの対応も重要な要素となりつつあります。
「企業からのコメント返信なし」に65.3%のユーザーが悪印象
宣伝会議がX(Twitter)とFacebookの両方を利用している一般のSNSユーザー300人に対し企業の公式X(Twitter)、Facebookページの印象に関する調査を実施したところ、下記のような結果が発表されています。
>>参考:AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議
もしも、企業の公式Facebookページに苦情を書き込まれたら?――ソーシャルメディア担当者の2割超「返信しない」/編集部調査レポート(1)
企業の担当者とユーザーの間で生じている、3つの認識のギャップ
1.「Facebookに書き込んだ苦情に対する企業の返信なし」は65.3%のユーザーが悪印象
⇔企業の担当者の23.0%が「苦情には返信しない」2.「商品・サービスなどを直接的に宣伝するつぶやき」を受容するユーザーは3割
⇔企業の担当者の8割が「直接的に宣伝するつぶやき」を実施3.企業によるTwitterの「アクティブサポート」、5割の生活者が「好印象」と回答
⇔アクティブサポートを導入している企業の担当者は26.0%に留まる※「アクティブサポート」とは、企業の担当者が“自社に関するX(Twitter)のつぶやきを検索し、つぶやいたユーザーに企業からツイッター上で話しかける”行為のこと。
こちらの調査結果からも企業側は全体的にユーザーとのコミュニケーションに消極的なところが多いものの、ユーザーは企業からのコミュニケーションを歓迎する傾向があるということが分かります。

アクティブサポート・コミュニケション
SNS上に一般ユーザーから投稿されている貴社商材(サービスや商品)についての投稿へ、企業アカウント(公式アカウント)から能動的にアプローチするSNS施策です。
ファンとの密なコミュニケーションを取ることに成功しているFacebookページ
コメント欄でのやり取りを通して、ファンとの密なコミュニケーションを取ることに成功している、Facebookページを3つご紹介します。
伊藤ハム Facebookページ

伊藤ハム / ITOHAM FOODS inc.のFacebookページ
SNSキャラクターの「ハム係長」が担当するというコンセプトのもと運営されている「伊藤ハム」のFacebookページです。投稿は、商品を使ったレシピや動画の紹介、ワークショップなどのイベントの様子をハム係長が伝える形になっています。
1つの投稿内でハム係長から何回かに渡ってコメントに対する丁寧な返信や、コミュニケーションがおこなわれており、中にはコメント欄でさらに会話が続いている場合もあります。ハム係長とのコミュニケーションを楽しみにユーザーがコメントを書き込むなど、ファンとの距離が非常に近いFacebookページになっています。
本投稿から1年が経過している現在も同様のコミュニケーションを継続されています。コメントへの返信だけでなくリアクションも丁寧にされており、ファンとの良好な関係が伺える運用となっています。
Calbee Facebookページ

「Calbee」のFacebookページでは、Facebook限定のキャンペーンや季節に合わせた商品情報の紹介、イベントレポートを動画で伝える形になっています。
必ず「いいね!、コメント、シェア」に対するお礼をしたり、商品の補足説明や応募締め切りのアラートもコメント欄をうまく活用してファンに届けています。また、投稿へのコメントで参加できるキャンペーンを実施したりと、「宣伝だけではないので見ていて楽しい」、ファンが参加できるFacebookページになっています。
2018年7月現在の運用では、質問コメントに対してはそれぞれ返信を行い、それ以外のコメントについては、1記事に対して1回の返信をされています。Facebookページのご担当者には、全てのコメントへの返信ができない場合の対応として、とても参考になる運用ではないでしょうか。ぜひ取り入れてみてください。
Kurashiru Facebookページ

kurashiru (クラシル) は、料理の工程をすべて短い動画に収めて、分かりやすくレシピを伝えているメディアです。Facebookでの投稿も、料理動画(レシピ動画)を紹介するというのが主となっています。特徴としては投稿内容が動画ということもあり、シェア数が高いという点と、コメントをくれたファンに対して1つ1つ丁寧に返信をしていっているという点です。絵文字や短いコメントにはFacebookのスタンプ機能を使って返信したり、少しネガティヴに感じられるコメントにも丁寧に返信をしています。ファンの温度感に合わせてコミュニケーションをおこなうことで、コメント内容のマンネリ化を防ぐことができているFacebookページになっています。
こちらも2018年7月現在で、本記事の投稿時と変わらない丁寧な対応を取られています。スタンプにはスタンプで返信する方法は、とてもバランス感のあるコミュニケーションになっており、ファンの方も気軽に記事への想いを伝えられる場として楽しんでいる様子が伺えます。
コメント返信することでネガティブをポジティブに変えた対応フロー
事例の一つに以下のようなユーザーの感情の変化がありました。

このように入りはネガティブなユーザーでも丁寧に向き合い返信していくことで、結果ポジティブへ変えていくことが可能です。なお、こちらの事例では、その後ネガティブなコメントが付かなくなりました。
Facebookページ運用におけるコメントへの方針の策定ポイント
今回はFacebookのコメント返信をおこなうことでファンとの距離を縮める事例についてご紹介しましたが、自社アカウントにあった運用方法を策定することをおすすめしています。
(1)ユーザーからのコメントには対応していない旨をプロフィールに表記
リソース不足のため対応しないことを決定した場合:
Facebookページを運用されている企業では、この対応方針を取られている例は少なくありません。ですが、実際のところは方針というよりは、リソース不足や返信に対する不安から、対応したいけど踏み出せない、結果として”一切行わない”、となってしまっていることが多いようです。もし、コメントを返信しない場合でも、その旨を明記しておくと良いでしょう。
(2)お問い合わせについては個別に返信する
サービスや商材についての個別対応:
お問い合わせについては、SNS担当部門だけでは完結しきれないケースが多々あります。そのため返答コメントに、カスターサポートなどの対応窓口のリンクを案内することでユーザーへの理解を得ることができます。 また関係部署との連携、体制確保はぜひ事前に行うようにしてください。
ユーザーからのコメントは必ずチェックすることをおすすめします。思わぬアイデアや指摘など有益なフィードバックを得られる機会となります。
また、コメントに返信しない場合でも、コメントに対して「いいね!」などリアクションするのもおすすめです。コメントされたユーザーにも通知がされるため「見ましたよ」「ありがとう」を伝えることができます。
Facebookページ運用における誹謗中傷などのコメントがついた場合の運用対策
Facebookは実名制のSNSであるため、比較的マナーの良いユーザーが多いですが、万が一誹謗中傷などのコメントが投稿された場合でも、Facebookの機能やサービス活用して適切に対処できます。まずは、下記の対応で様子をみることをおすすめします。
(1)コメントを非表示にする
そのコメントを非表示しても、リアクションや返信した時のように相手に通知がいくことはありません。仮に非表示にしたとしても、その投稿者の友達には表示されたままとなるため、気づかれずらい仕様になっているといえます。
また、Facebookは一定のスパム対策を自動的に行っているため、特定のユーザーのコメントを何度も非表示にすると、このユーザーだなと学習してコメントを自動的に非表示にしてくれます。そのようなことが起きないのが望ましいですが、運用を継続すると少なからず発生してしまうので、有難い仕様です。
(2)報告する
Facebookに該当のコメントを通報する方法です。一度そのコメントを「非表示」にして、表示されている「報告」をクリックすると、問題の内容についてFacebook側が詳細を尋ねてきます。該当する内容を選択すると報告が完了します。
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