X(Twitter)運用担当者であれば一度は耳にしたことのある「アクティブサポート」「アクティブコミュニケーション」だと思いますが、本記事では基本的なことや、企業アカウントの事例を参考に改めてどのような施策なのかをご紹介いたします。
アクティブサポート・アクティブコミュニケーションとは
アクティブサポートとは主に代表的なSNS(ソーシャルメディア)を活用し、自社商品やサービスに対してのつぶやきを能動的に見つけて、企業側からリプライなどでアプローチする施策です。
アクティブサポート
SNSでカスタマーサポートを実現
アクティブコミュニケーション
ユーザーとの交流でファン化につなげる

自社の投稿に付いたリプライ(コメント)だけでなく、一般のSNSユーザーがX(Twitter)上で自社の商品やサービスについて投稿しているものに対して、能動的にアクションを起こし企業アカウント側からコンタクトを取ることを「アクティブサポート」とされています。
多くのSNS上に投稿されるユーザーの「声」に、いち早く対応することで顧客満足度の向上やブランディング向上をめざす運用の一つです。

アクティブサポート・コミュニケション
SNS上に一般ユーザーから投稿されている貴社商材(サービスや商品)についての投稿に、企業アカウント(公式アカウント)から能動的にアプローチするSNS施策です。
X(旧Twitter)でアクティブサポート・アクティブコミュニケーションをするメリットとは
SNSの中でも特にX(Twitter)は匿名でアカウントを開設することができるため、一般ユーザーは気軽に本音をツイートする傾向にあります。
そこには顧客(ファン)からのニーズや、サイレントクレーム等の「クチコミ」データが蓄積されていることになります。
自社の商品やサービスについて、何か訴えているファンを放置することで、下記のような効果を得る機会損失していると言っても過言ではありません。
アクティブサポート・アクティブコミュニケーションのメリット
1:ファンとの関係強化
好意的な投稿に、公式アカウントからお礼のリプライをすることで顧客(ファン)との関係強化となります。
2:カスタマーサポートを実現
問題を抱えたユーザーは、貴社のカスタマーサポートへ問合せすることなくX(Twitter)上にクレームを投稿する傾向があります。公式アカウントとして真摯に対応することで顧客からの離脱を防止するなど、X(Twitter)上でカスタマーサポートが実現できるのです。
3:顧客のニーズをキャッチアップ
顧客(ファン)からのクレームや問題点は、商品開発の改善すべき点を確認することができるため、大規模なアンケート施策をすることなく、要望をキャッチアップできます。
顧客のカスタマージャーニー(意思決定プロセス)にアプローチ
アクティブサポートやアクティブコミュニケーションで期待される効果としては自社のブランドを向上させたり、リピーターとの関係強化により、顧客のLTV(生涯価値)が高まることも期待できる効果のひとつです。
それは、顧客のカスタマージャーニー(意思決定プロセス)にSNSが強く影響をしていることも明らかになって来ているからです。
購入前、購入後にリアルなクチコミをSNSで確認し、その後、企業アカウントについてコメント投稿するユーザーの一連のアクションの中で、公式アカウントからの情報と交流は、ファン強化に繋がるSNSマーケティングとなります。
>>参考: 「SNSの普及で、消費者の意思決定プロセスが循環型になっている」慶應義塾大学 清水聰教授
ここからは、企業アカウントが実際にどのようなアクティブサポートやアクティブコミュニケーションをおこなっているのかご紹介します。
アクティブサポート・アクティブコミュニケーションでファン化や問題解決に成功している企業アカウント
能動的にコミュニケーションを取り、ファンとの関係強化や問題解決につなげていく点では共通しているものの、具体的なやり方や内容は企業によってさまざまです。 各社が実際にどのようなアクティブサポートやアクティブコミュニケーションをしているのか企業アカウント事例をみていきましょう。
事例1:Huluカスタマーサポート
>>参考: @Hulu_JPSupport
X(Twitter)上でカスタマーサポート窓口を成功した企業アカウントとして有名です。 「#Huluお願い」というハッシュタグを用いて、カスタマーが配信して欲しいと望むタイトルをこのハッシュタグ付きで投稿してもらうことで、作品のニーズ把握に繋げ、拡充に役立てています。

>>参考: 2018年11月5日投稿より
週に一度、下記のようなツイートで「#Huluお願い」を入れた投稿をするようにユーザーに呼びかけ投稿をしています。定期的に呼びかけることでユーザーに知らせる投稿も運用に取り入れたいポイントです。

>>参考: 2018年12月3日投稿より
リクエストを受け付けた作品について受け付けた旨をリプライを投稿しています。リクエストにすぐには対応できないものの、ユーザーからのご意見に対するケアをX(Twitter)で実現している点は参考にしたいところです。

事例2:マイクロソフトサポート
>>参考: @MSHelpsJP
マイクロソフトでは製品の活用方法はもちろんですが、Windowsの Tipsや各ソフトのショートカットキーといったユーザーがPCを利用する上で、役立つ情報も発信しています。
また、WIN系のPCメーカーのアカウントの投稿をリポスト(リツイート)するなど、ユーザーに利益になる情報は拡散するお手伝いも欠かさないところがSNS文化を理解している運用を感じます。

>>参考: 2018年12月5日投稿より
外部接続ディスプレイの接続設定画面のショートカットキーについて紹介している投稿は、ユーザーにとってTipsとなるため保存したくなります。

統一しているハッシュタグはマイクロソフトサポート「#MSHelpsJP」ですが、ソフトによっても使い分けするなど、拡散とアクティブサポートに特化できるように工夫しています。
「#Windows10」などといった自社商品に関するキーワードが含まれているつぶやきに対して、ユーザーがさらに便利に利用できる付加情報と合わせて能動的にコミュニケーションを取っているようです。
>>参考: 2018年12月5日投稿より
Windows10へのアップロードを推奨するマイクロソフトでは、アップグレードしたユーザーを応援しつつ参考情報をまとめたWebサイトへのリンクを紹介するなど、Winユーザーとの関係強化を感じさせられるアクティブサポート事例が多い。

事例3:まりな_さくらインターネット公式
>>参考: @sakura_ope
さくらインターネットでは、運用方法としてキャラクター設定をし、カスタマーセンターの公式キャラクター『まりな』がサービスに関するお役立ち情報を投稿したり、ユーザーからの質問に対してX(Twitter)上で対応しています。

>>参考: 2018年11月19日投稿より
カスタマーサポートイメージに徹している点は、週の初めと終わりの挨拶を投稿することで、その間はコミュニケーション対応をしていないことが分かります。

>>参考: 2018年11月22日投稿より

返信する際にメンション「@ユーザー名」をきちんと入れて対応したり、困っているユーザーがいたら、公式アカウントから積極的にリプライして問題解決のお手伝いをしたり、また詳細がWebサイトにある場合はページへ誘導したりと対応が定型化された対応だけではないため、顧客に寄り添っている様子が伺えます。
また、状況によってはダイレクトメールに転換し連絡をとるなど、臨機応変にサポートするなども見習う点だと思います。
>>参考: 2018年10月25日投稿より
ユーザーからのお問合せツイートに対して24時間以内に返信対応しており、画像付きで設定を説明していました。

事例4:井村屋
>>参考: @IMURAYA_DM
「中の人」として有名アカウントの井村屋は、多くの企業アカウントとX(Twitter)上でコミュニケーションをとり、リツイートすることで企業間で投稿を拡散をするなどX(Twitter)の特徴を活かした運用は見習いたいアカウントの一つです。

>>参考: セガ公式カウントの2018年11月29日投稿をリポスト(リツイート)しています。

運用では、ブランディングとファンとの関係強化にも注力しているようで、一般ユーザーからのリプライに頻繁に対応しています。井村屋の公式アカウントとコミュケーションを取ることができるというのもフォローが楽しみにしている様子がわかります。
>>参考: 2018年11月23日投稿より
「#お赤飯の日」にちなんだ投稿にファンからお赤飯は何派?!というようなリプライを募りさらにコメント返信していました。

事例5:りそにゃ【公式】(りそな銀行)
>>参考: @re_hitorigoto
りそな銀行では公式コミュニケーションキャラクター「りそにゃ」が公式アカウントを運営しています。そのため銀行のサービスよりもキャラクター(ゆるキャラ)のアカウントとして日々の投稿が多く、ビジネス色が強くない投稿が中心となっています。

>>参考: 2018年11月24日投稿より
「世界キャラクターさみっと in 羽生」の様子を投稿していました。

「りそにゃ」とコミュニケーションをとりたいユーザーからリプライ(コメント)が付き、そのやり取りは結果、銀行へのサービスに繋がるほどのファン化が見られます。
>>参考: 2018年11月27日投稿より
2019年版“りそにゃ”カレンダーには、ファンから忌憚のない意見や、いつどこでこのカレンダーを手に入れられかなどの質問にも対応。

アクティブサポート・アクティブコミュニケーション実施の注意点
1:節度をもって声がけ(リプライ)する
リプライするときは、企業アカウントであることを忘れずに、節度ある返信内容と対応を心がけましょう。
2:公式アカウントとして運用方針を作成する
アクティブサポートする状況によっては、投稿文内の顔文字は誤解を招くこともあるので、使用には注意が必要です。また、テンプレートのような回答は、堅苦しいイメージのため嫌がられてしまうこともあるため、どのような返答をするのか運用プランやマニュアルを準備しましょう。
3:該当者アカウントの状況を確認
リプライする際は前後の投稿やユーザー属性を確認し、対応をおこなっても問題ない状況なのかを確認しましょう。
4:状況をみて連絡方法を変える
X(Twitter)のリプライは、広くユーザーに読まれる可能性があるものです。参照情報など提示するときは著作権への配慮を怠らないようにしましょう。また個人情報など重要なものはダイレクトメールでやりとりしましょう。
ユーザーからの要望や質問などの対応は、できることなのかできないことなのか、きちんと事実関係が判明してから対応しましょう。
まとめ:X(旧Twitter)アクティブサポート・アクティブコミュニケーションでユーザーとの関係向上を。
日常のちょっとした出来事を気楽に投稿できるX(Twitter)上には、高い確率で自社商品やサービスに対して喜んでいるものや不満につながっている投稿が存在しています。
それらの一般ユーザーからの投稿を、しっかりと採取し分析・調査・サポートをすることができれば、B to Cマーケティングや、ブランディング向上につなげることが上記の企業アカウントの事例で確認できました。
受身で問い合わせを待つことで届かなかったSNS以前とは違い、能動的に顧客との距離を縮めることができるアクティブサポートやコミュニケーションを運用に取り入れてはいかかでしょうか。
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